今回の記事では、ウィーンで1980年代から発展を遂げてきたラングレ(Langle)の実存分析について概説する。
1理論
実存的意味(existential meaning)と存在論的意味(ontological meaning)の区別
ウィーン学派の実存分析は、生きる意味についての基礎的な捉え方に関して、フランクルとは異なった立場をとるようになっている。フランクルにおいては、意味は客観的に実在するものであった。そこでは人の無意味感は、実在している意味を発見できていない状態として説明されている。どんな時でも意味は実在しており、それは人生を生きる人に問いかけという形で現れる。実存分析はこのような意味を存在論的意味と呼び、それに実存的意味を対置する。実存的意味はどんな時でも実在すると想定されている存在論的意味とは異なり、世界で起こる出来事や感情との関係の中で具体的に生じるものである。ラングレ自身は意味を、「その都度の状況で最も価値ある可能性」と定義している。
実存の基本的4動因(existential fundamental motivations)
意味への意志は、古典的ロゴセラピーにおける最も重要な概念の一つである。人間は最も根本的には、何よりも生きることの意味を求める存在だという人間観を現わしているのが、この意味への意志という概念であり、ロゴセラピーの基本的な立場そのものとなっている。この意味への意志を批判的に発展させたのが、ウィーン学派実存分析における実存の四つ基本動因理論である(Längle, 1998, 2002, 2003, 2011, Reitinger & Bauer, 2019)
この理論では、実存的な動機は四つの基本的要素、すなわち、世界内存在、人生、人となること、意味、の四つの要素からなるとされている。ここでは、意味への意志は相対化され、実存的な動機を構成する四つの基本的な要素の一つとされている。以下、それぞれの動機について簡単に見ていく。
(1)世界内存在ー条件と可能性の扱い
最初の条件は、私が存在しているというシンプルな事実から生じる。ここで実用的な質問は、私は存在し得るか?という基本的な実存的問いである。この条件を満たすためには、心理・物理的保護、余裕、支持という三つの条件が必要である。この条件が満たされれば、人は現実を受け入れ、耐える力を発展させることができる。このような条件が満たされなければ、不安障害やスキゾフレニアの原因となる。
(2)生命ー関係と感情の扱い
最初の条件が満たされたとしても、ただ存在するだけでは十分ではない。人は自らの存在がよくあることを求めるものである。それ故、我々は、私は生きることが好きか?という生の基本的問いによって動機付けられている。この条件を満たすためには、関係性、時間、価値あるものとの近さの三つの条件が必要である。この条件が満たされなければ、切望が生じ、最終的には鬱の原因となる。
(3)人になることー独自性と良心の扱い
以上の条件が満たされ、人生や他者との関係性が良好であっても、人はそれぞれ独自の自己を持っている。この側面から見ると、私は自分であることに満足しているか?という自己であることについての基本的な問いが提起される。この条件を満たすためには、注意または尊重、正義、感謝の三つの条件が必要である。この条件が満たされないと、孤独が生じ、ヒステリーの原因となる。
(4)意味ー成長、未来、コミットメントの扱い
以上の三つの条件が満たされると、生きる意味に関する実存的な動機の条件が満たされることになる。生きる意味についての基本的問いは、私は何のためにここにいるのか?という問いであり、この条件が満たされるためには、構造的文脈と自分が必要とされる活動分野、将来果たされるべき価値の三つの条件が必要とされる。この条件が満たされない場合は、空虚感が結果し、依存症や希死念慮につながることがある。
2技法
現象学的対話
生きる意味が単に良心によって知覚されるものではなく、外的な現実との関係で主観的な感覚や感情を含みながら成立するものであるとしたら、その過程を扱うための方法論が必要になる。そこで採用されるのが現象学的方法である。実存分析においては、内的現実と外的現実の双方に対して現象学的態度をとり、それが意識に対してどのように現れているかを探求していく。それによって、クライエントの現実把握や自己理解の作業を助け、意志決定や問題解決へ取り組むことが可能になる。このような現象学的なアプローチにおいては、意識に現れるものをそのまま受け入れる受容的な在り方が重要になる。従って、ウィーン学派実存分析では自己超越と自己距離化の二つに加えてアクセプタンスが重視されることになる。
個人実存分析(personal existential analysis,PEA)
実存分析はクライエントの内的、外的状況との現象学的な対話を活性化し、円滑にする。この現象学的プロセスの体系がPEAである(Längle,1993, 2003, Kwee & Längle, 20013, Launeann, et al, 2019)。PEAは予備的な段階であるPEA0からPEA3までの4段階で構成されている。
(1)PEA0:説明(Description)
予備的な前段階であるPEA0では、クライエントが置かれている事実的な状況を正しく確認することが目指される。クライエントはセラピストと共に問題的状況を細かく確認していくことによって、気づかないうちに抱いていた憶測や仮設を正して、より適切な仕方で問題に関わることができるようになる。PEA0は4動因における存在の条件に対応している。
(2)PEA1:印象(Impression)
PEA1は、PEA0で明らかにされた客観的な状況に対して、クライエントが主観的にどのような感情や考えを持っているかを明らかにする段階である。そこでPEA1では、主観的な感情や感覚、衝動や促し、状況からの要求に関して、順に明らかにしていく。PEA1は、クライエントのアクセプタンスの能力を活用する過程であり、4動因における生への条件に対応するものである。
(3)PEA2:現象学的分析(phenomenological analysis)
PEA2では、PEA1で明らかにされた様々な感情や思考に基づいて、問題に対する全体的な理解を形成し、その問題に対してどのように向き合うかを明確にする段階である。そのため、PEA2は理解(understanding)と位置づけ(positioning)という二つの段階を有する。クライエントは、PEA0で明確にした現実の状況とPEA1で明確にした具体的な個々の感情をここで全体的に綜合することによって対象化し(理解)、それ対して態度をとる(位置づけ)ことによって、問題に対して適切な距離をもって関わることができるようになる。従って、PEA2は自己距離化に対応しており、自己と世界の区別と内実を明確にすることによって、実存の基本的4条件における自己の契機を満たすことになる。
(4)PEA3:表現(Expression)
PEA3は、PEA2で明確になった問題との向き合い方に基づいて、これから具体的にどのように活動していくかを決めていく段階である。具体的には、クライエントがこれから行う活動を、何を、いつ、誰と、どのように行うかをセラピストと共に検討していく。内面的な自己を現実の世界において表現していくという意味で、PEA3は自己超越に対応している。また、この過程は、具体的な状況や文脈で意味を持つ行動を具体的に検討していく作業であるから、実存の基本的4条件における意味の契機を実現していく過程でもある。
他の技法
体系的な技法であるPEAの他に、個々の目的に応じた様々な技法もあり、状況に応じて使い分けられる。その内のいくつかの技法について、以下に紹介する。
個人的位置発見法(Personal Position Finding,PPF)
PPFはクライエントが与えられた状況に対する個人的な態度を見つけることを助ける技法であり、クライエントの自己距離化の能力に関わるものである。PPFは三つの段階を有する。
(1)与えられた状況における現実的な可能性の評価
(2)自らの有する資源、能力の評価
(3)与えられた状況におけるポジティブな価値への注目
意志強化法(Will-Strengthening Method,WSM)
WSMはクライエントの意志決定や、その目標への追従、忍耐能力を高める技法であり、クライエントの自己超越の能力に関わるものである。WSMは五つの段階を有する。
(1)与えられた状況の現実の記述
(2)問題の原因と理由の明確化
(3)クライエントの有する暗黙的な価値との関連付け
(4)目標と関連する意味地平の記述
(5)目標への決定、準備、実行を通した統合
実存的意味探究法(Search for Existential Meaning,SEM)
SEMはクライエントのアクセプタンスの能力に基づき、状況的な意味の問いを意識化して答えることを助ける技法である。
SEMには四つの段階があり、それぞれ実存的動機の基本的4条件に対応している。
(1)世界と状況における現実把握
(2)現実に関連した価値とその欠如の感覚
(3)状況評価への価値評価と見方の発達
(4)態度に沿った行動
ウィーン学派実存分析のまとめ
ラングレの主導したウィーン学派において発展した実存分析は、フランクルにおいて幾分形而上学的な前提のもと考えられていた存在論的意味概念を、主観的な感覚や感情に基づく実存的意味概念として規定することによって地に足のついたものにし、現象学的な方法論を取り入れることによって体系的かつ具体的な理論と実践を可能にした。ラングレ自身も指摘しているが、PEAは現代の主要な多くの心理療法の要素を取り入れている。例えば、PEA0は認知再構成法に、PEA1はフォーカシングに、PEA3は行動活性化療法に、また、PEA2とPEA3はそれぞれACTにおける価値とコミットメントの側面に対応するだろう。このように、ウィーン学派実存分析はロゴセラピーという枠を超え、臨床心理学全体の観点から見ても、現代にふさわしい優れた統合的心理療法になっている。
文献
Längle A (1998) A short description of existential fundamental motivations. Engl. translation of a part of : Lebenssinn und Psychofrust - zur existentiellen Indikation von Psychotherapie. In: Riedel L. (Hg.) Sinn und Unsinn der Psychotherapie. Basel: Mandala, 1998, 105-124
Längle A (2002) Existential fundamental motivations – paper read August 16, 2002 at the IFP-World Congress, Trondheim
Längle A (2003) The Search for Meaning in Life and the Fundamental Existential Motivations. In: Psychotherapy in Australia, 10, 1, 22-27
Längle A. (2011) Leontiev DA (Ed) Motivation, Consciousness and Self-Regulation. Hauppauge, New York: Nova, pp. 27-42
Reitinger C & Buer E J (2019) Logotherapy and Existential Analysis: Philosophy and Theory. In: van Deurzen, E., Craig, E., Längle, A., Schneider, K. J., Tantam, D., & du Plock, S. (2019). The Wiley World Handbook of Existential Therapy.
Längle A (1993) A practical application of Personal Existential Analysis (PEA) – a therapeutic conversation for finding oneself. Engl. translation of the German article in Bulletin der Gesellschaft für Logotherapie und Existentzanalyse 10, 2, 3-11
Längle A. (2003) The Method of “Personal Existential Analysis”. In: European Psychotherapy 4, 1, 37-53
Kwee JL, Längle A (2013) Phenomenology in Psychotherapeutic Praxis: An Introduction to Personal Existential Analysis. In: http://episjournal.com/journal-2013/phenomenology-in-psychotherapeutic-praxis
Launeann M, Klaassen D, Muir B A(2019) Logotherapy and Existential Analysis: Therapy Illustration: Personal Existential Analysis in Clinical Practice. In: van Deurzen, E., Craig, E., Längle, A., Schneider, K. J., Tantam, D., & du Plock, S. (2019). The Wiley World Handbook of Existential Therapy.
1理論
実存的意味(existential meaning)と存在論的意味(ontological meaning)の区別
ウィーン学派の実存分析は、生きる意味についての基礎的な捉え方に関して、フランクルとは異なった立場をとるようになっている。フランクルにおいては、意味は客観的に実在するものであった。そこでは人の無意味感は、実在している意味を発見できていない状態として説明されている。どんな時でも意味は実在しており、それは人生を生きる人に問いかけという形で現れる。実存分析はこのような意味を存在論的意味と呼び、それに実存的意味を対置する。実存的意味はどんな時でも実在すると想定されている存在論的意味とは異なり、世界で起こる出来事や感情との関係の中で具体的に生じるものである。ラングレ自身は意味を、「その都度の状況で最も価値ある可能性」と定義している。
実存の基本的4動因(existential fundamental motivations)
意味への意志は、古典的ロゴセラピーにおける最も重要な概念の一つである。人間は最も根本的には、何よりも生きることの意味を求める存在だという人間観を現わしているのが、この意味への意志という概念であり、ロゴセラピーの基本的な立場そのものとなっている。この意味への意志を批判的に発展させたのが、ウィーン学派実存分析における実存の四つ基本動因理論である(Längle, 1998, 2002, 2003, 2011, Reitinger & Bauer, 2019)
この理論では、実存的な動機は四つの基本的要素、すなわち、世界内存在、人生、人となること、意味、の四つの要素からなるとされている。ここでは、意味への意志は相対化され、実存的な動機を構成する四つの基本的な要素の一つとされている。以下、それぞれの動機について簡単に見ていく。
(1)世界内存在ー条件と可能性の扱い
最初の条件は、私が存在しているというシンプルな事実から生じる。ここで実用的な質問は、私は存在し得るか?という基本的な実存的問いである。この条件を満たすためには、心理・物理的保護、余裕、支持という三つの条件が必要である。この条件が満たされれば、人は現実を受け入れ、耐える力を発展させることができる。このような条件が満たされなければ、不安障害やスキゾフレニアの原因となる。
(2)生命ー関係と感情の扱い
最初の条件が満たされたとしても、ただ存在するだけでは十分ではない。人は自らの存在がよくあることを求めるものである。それ故、我々は、私は生きることが好きか?という生の基本的問いによって動機付けられている。この条件を満たすためには、関係性、時間、価値あるものとの近さの三つの条件が必要である。この条件が満たされなければ、切望が生じ、最終的には鬱の原因となる。
(3)人になることー独自性と良心の扱い
以上の条件が満たされ、人生や他者との関係性が良好であっても、人はそれぞれ独自の自己を持っている。この側面から見ると、私は自分であることに満足しているか?という自己であることについての基本的な問いが提起される。この条件を満たすためには、注意または尊重、正義、感謝の三つの条件が必要である。この条件が満たされないと、孤独が生じ、ヒステリーの原因となる。
(4)意味ー成長、未来、コミットメントの扱い
以上の三つの条件が満たされると、生きる意味に関する実存的な動機の条件が満たされることになる。生きる意味についての基本的問いは、私は何のためにここにいるのか?という問いであり、この条件が満たされるためには、構造的文脈と自分が必要とされる活動分野、将来果たされるべき価値の三つの条件が必要とされる。この条件が満たされない場合は、空虚感が結果し、依存症や希死念慮につながることがある。
2技法
現象学的対話
生きる意味が単に良心によって知覚されるものではなく、外的な現実との関係で主観的な感覚や感情を含みながら成立するものであるとしたら、その過程を扱うための方法論が必要になる。そこで採用されるのが現象学的方法である。実存分析においては、内的現実と外的現実の双方に対して現象学的態度をとり、それが意識に対してどのように現れているかを探求していく。それによって、クライエントの現実把握や自己理解の作業を助け、意志決定や問題解決へ取り組むことが可能になる。このような現象学的なアプローチにおいては、意識に現れるものをそのまま受け入れる受容的な在り方が重要になる。従って、ウィーン学派実存分析では自己超越と自己距離化の二つに加えてアクセプタンスが重視されることになる。
個人実存分析(personal existential analysis,PEA)
実存分析はクライエントの内的、外的状況との現象学的な対話を活性化し、円滑にする。この現象学的プロセスの体系がPEAである(Längle,1993, 2003, Kwee & Längle, 20013, Launeann, et al, 2019)。PEAは予備的な段階であるPEA0からPEA3までの4段階で構成されている。
(1)PEA0:説明(Description)
予備的な前段階であるPEA0では、クライエントが置かれている事実的な状況を正しく確認することが目指される。クライエントはセラピストと共に問題的状況を細かく確認していくことによって、気づかないうちに抱いていた憶測や仮設を正して、より適切な仕方で問題に関わることができるようになる。PEA0は4動因における存在の条件に対応している。
(2)PEA1:印象(Impression)
PEA1は、PEA0で明らかにされた客観的な状況に対して、クライエントが主観的にどのような感情や考えを持っているかを明らかにする段階である。そこでPEA1では、主観的な感情や感覚、衝動や促し、状況からの要求に関して、順に明らかにしていく。PEA1は、クライエントのアクセプタンスの能力を活用する過程であり、4動因における生への条件に対応するものである。
(3)PEA2:現象学的分析(phenomenological analysis)
PEA2では、PEA1で明らかにされた様々な感情や思考に基づいて、問題に対する全体的な理解を形成し、その問題に対してどのように向き合うかを明確にする段階である。そのため、PEA2は理解(understanding)と位置づけ(positioning)という二つの段階を有する。クライエントは、PEA0で明確にした現実の状況とPEA1で明確にした具体的な個々の感情をここで全体的に綜合することによって対象化し(理解)、それ対して態度をとる(位置づけ)ことによって、問題に対して適切な距離をもって関わることができるようになる。従って、PEA2は自己距離化に対応しており、自己と世界の区別と内実を明確にすることによって、実存の基本的4条件における自己の契機を満たすことになる。
(4)PEA3:表現(Expression)
PEA3は、PEA2で明確になった問題との向き合い方に基づいて、これから具体的にどのように活動していくかを決めていく段階である。具体的には、クライエントがこれから行う活動を、何を、いつ、誰と、どのように行うかをセラピストと共に検討していく。内面的な自己を現実の世界において表現していくという意味で、PEA3は自己超越に対応している。また、この過程は、具体的な状況や文脈で意味を持つ行動を具体的に検討していく作業であるから、実存の基本的4条件における意味の契機を実現していく過程でもある。
他の技法
体系的な技法であるPEAの他に、個々の目的に応じた様々な技法もあり、状況に応じて使い分けられる。その内のいくつかの技法について、以下に紹介する。
個人的位置発見法(Personal Position Finding,PPF)
PPFはクライエントが与えられた状況に対する個人的な態度を見つけることを助ける技法であり、クライエントの自己距離化の能力に関わるものである。PPFは三つの段階を有する。
(1)与えられた状況における現実的な可能性の評価
(2)自らの有する資源、能力の評価
(3)与えられた状況におけるポジティブな価値への注目
意志強化法(Will-Strengthening Method,WSM)
WSMはクライエントの意志決定や、その目標への追従、忍耐能力を高める技法であり、クライエントの自己超越の能力に関わるものである。WSMは五つの段階を有する。
(1)与えられた状況の現実の記述
(2)問題の原因と理由の明確化
(3)クライエントの有する暗黙的な価値との関連付け
(4)目標と関連する意味地平の記述
(5)目標への決定、準備、実行を通した統合
実存的意味探究法(Search for Existential Meaning,SEM)
SEMはクライエントのアクセプタンスの能力に基づき、状況的な意味の問いを意識化して答えることを助ける技法である。
SEMには四つの段階があり、それぞれ実存的動機の基本的4条件に対応している。
(1)世界と状況における現実把握
(2)現実に関連した価値とその欠如の感覚
(3)状況評価への価値評価と見方の発達
(4)態度に沿った行動
ウィーン学派実存分析のまとめ
ラングレの主導したウィーン学派において発展した実存分析は、フランクルにおいて幾分形而上学的な前提のもと考えられていた存在論的意味概念を、主観的な感覚や感情に基づく実存的意味概念として規定することによって地に足のついたものにし、現象学的な方法論を取り入れることによって体系的かつ具体的な理論と実践を可能にした。ラングレ自身も指摘しているが、PEAは現代の主要な多くの心理療法の要素を取り入れている。例えば、PEA0は認知再構成法に、PEA1はフォーカシングに、PEA3は行動活性化療法に、また、PEA2とPEA3はそれぞれACTにおける価値とコミットメントの側面に対応するだろう。このように、ウィーン学派実存分析はロゴセラピーという枠を超え、臨床心理学全体の観点から見ても、現代にふさわしい優れた統合的心理療法になっている。
文献
Längle A (1998) A short description of existential fundamental motivations. Engl. translation of a part of : Lebenssinn und Psychofrust - zur existentiellen Indikation von Psychotherapie. In: Riedel L. (Hg.) Sinn und Unsinn der Psychotherapie. Basel: Mandala, 1998, 105-124
Längle A (2002) Existential fundamental motivations – paper read August 16, 2002 at the IFP-World Congress, Trondheim
Längle A (2003) The Search for Meaning in Life and the Fundamental Existential Motivations. In: Psychotherapy in Australia, 10, 1, 22-27
Längle A. (2011) Leontiev DA (Ed) Motivation, Consciousness and Self-Regulation. Hauppauge, New York: Nova, pp. 27-42
Reitinger C & Buer E J (2019) Logotherapy and Existential Analysis: Philosophy and Theory. In: van Deurzen, E., Craig, E., Längle, A., Schneider, K. J., Tantam, D., & du Plock, S. (2019). The Wiley World Handbook of Existential Therapy.
Längle A (1993) A practical application of Personal Existential Analysis (PEA) – a therapeutic conversation for finding oneself. Engl. translation of the German article in Bulletin der Gesellschaft für Logotherapie und Existentzanalyse 10, 2, 3-11
Längle A. (2003) The Method of “Personal Existential Analysis”. In: European Psychotherapy 4, 1, 37-53
Kwee JL, Längle A (2013) Phenomenology in Psychotherapeutic Praxis: An Introduction to Personal Existential Analysis. In: http://episjournal.com/journal-2013/phenomenology-in-psychotherapeutic-praxis
Launeann M, Klaassen D, Muir B A(2019) Logotherapy and Existential Analysis: Therapy Illustration: Personal Existential Analysis in Clinical Practice. In: van Deurzen, E., Craig, E., Längle, A., Schneider, K. J., Tantam, D., & du Plock, S. (2019). The Wiley World Handbook of Existential Therapy.
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