今回は、うつ病とはどのようなものなのか、その症状や種類について解説します。

症状について
うつ病とは、気分の落ち込みを主な症状とする精神障害です。我々人間は誰しも、何か不幸な出来事やいやなことがあれば気分が落ち込みます。しかし、うつ病の人が経験するうつとは、そのような気分の落ち込みの程度が大きく、慢性的に続くことが特徴です。
主な症状は気分の落ち込みですが、それに加えて不眠や体重増加などの身体症状、注意力の低下などの行動能力の低下も見られるのもうつ病の特徴です。
具体的な症状を挙げると、以下のものがあります。
1、気分の落ち込み
2、興味や喜びの喪失
3、不眠
4、気力の低下、疲労
5、行動のぎこちなさや落ち着きのなさ
6、注意力、思考力の低下
7、体重や食欲の異常
8、自殺願望
9、罪悪感や無価値感
これらの内、五つ以上の症状が二週間以上にわたって続いている場合、精神科ではうつ病と診断されます。親しい人を亡くしたなどの出来事があった場合、気分の落ち込みは正常なものとみなされるため、基本的に二ヶ月間はうつ病の診断はなされません。しかし、正常であり、うつ病でないからといって、それが不幸な出来事でないとか、心理的に解決されるべき問題でないということではありません。その場合は人間的な不幸として、グリーフケアの観点などからカウンセリング、心理療法を提供することができます。

うつ病の疫学的情報
うつ病の生涯有病率は10%ほどであり、十人に一人が経験する身近な障害です。平均的な発症時期は20代半ばで、成人以降は女性の方が男性の2倍うつ病になりやすいといわれています。また、うつ病の人の半数には何らかの不安障害も併存し、その場合は予後が悪くなる傾向があります。
治療に関しては、うつ病になった人の3分の2は完全に治りますが、残り3分の1は中々治りにくいといわれています。症状は一度無くなっても約半数の人が再発を経験し、再発を繰り返すほど、再発率も上がっていく傾向があります。

うつ病の種類
双極性障害
双極性障害はうつ病と同じ気分障害の一つです。うつ病と同じく気分の落ち込みが主な症状の一つですが、双極性障害の場合は逆に気分が高揚する躁状態という症状も見られることが特徴です。
うつ病と双極性障害は共に気分の落ち込みという同じ症状を共有していますが、実際にはかなり異なった障害であり、双極性障害の方が遺伝的な要素が強く、心理療法も効きにくいことが分かっています。

気分変調症
うつ病が双極性障害でない場合、うつ(気分の落ち込み)は大うつと小うつに分けられます。大うつはこれまで説明してきたうつですが、小うつは大うつに比べ、身体症状や行動能力の低下といった、他人から見て分かりやすい症状があまりなく、日常生活は送れるほどのうつが長期的に続くことが特徴です。
この小うつを主な症状とするうつ病が、気分変調症と呼ばれます。気分変調症は普通のうつ病よりも発症時期が早い傾向があり、性格的要素との結びつきが強いといわれています。

適応障害
小うつを主な症状とする場合でも、そのうつの原因が環境ストレスによることが明確であり、うつがそのストレスに対応した一過性のものである場合は、適応障害という分類になります。

非定型うつ病(新型うつ病)
大うつを主な症状とする場合、それは一般的にうつ病と呼ばれる障害に該当します。うつ病は細かい点における症状の違いから、さらに定型うつ病と非定型うつ病に分けることができます。その症状の各相違点をまとめたものが以下の表になります。
うつ 表
非定型うつ病は抗うつ薬が効きにくいことが分かっており、過眠傾向などから甘えているだけだと思われやすいうつ病です。しかし、気分の落ち込みといった症状は一般的なうつ病と同様で、当人にとって非常につらいものとして経験されるのは変わりません。

特別な時期に発生するうつ病
上に挙げたうつ病の他に、特別な時期にだけ気分の落ち込みが見られる特別なうつ病があります。それが産後うつ、月経前うつ、季節性うつなどです。いずれも生物学的な要素の強いうつ病となります。

ここまで見てきたうつ病の種類をまとめると、下のようになります。
気分障害→双曲性障害
    →単極性障害→小うつ→気分変調症
              →適応障害
          →大うつ→一般的なうつ病
              →非定型うつ病

まとめ
この記事ではうつ病に関する基本的な情報を解説しました。自分が抱えるうつ病がどのようなもので、どのような種類に該当するのか、それを理解できれば、これからさらに情報を集めたり、解決策を探っていく上で役に立つでしょう。
また近いうちに、うつ病への心理療法に関する記事と、うつ病の原因に関する記事を投稿する予定です。